寝覚の床「浦島太郎伝説」

 昔、丹後の国竹野郡浦島というところに、水江という領主が住んでいました。この息子に太郎という少年がいました。ある日小船で沖に釣りに出た太郎は、大きな白亀を釣り上げました。お供の者が亀をなぐろうとしたので、太郎はそれを止めて亀を海に放してあげました。   太郎が家に帰ろうとすると、一人の美しい少女がどこからともなく近づいてきて、「私は先程の亀です。助けていただいてありがとう」と礼をのべ、太郎を常世の国竜宮城へ案内しました。たいそうもてなしを受け、月日の経つのも忘れて遊んでいた太郎はある日故郷を思い出し、竜王にいとまごいを申し出ました。竜王は弁財天の尊像と、万宝神書を一巻、そして決して開けてはいけないという玉手箱を渡してくれました。   太郎が故郷に帰ってみると、見知らぬ人ばかりで、「浦島太郎といえば、三百年ほど昔、沖に出てそれきり帰らぬ人」と近所の人に語られていたのでした。淋しさに耐えかねた太郎は、諸国への旅に出ました。

 ある日太郎は、竜宮での生活が忘れられず「今一度」と貰ってきた玉手箱を開けてみると、立ちのぼる白煙とともに白髪の翁となりました。「ああ、今までの事は夢だったのか」と目覚めたことから、この地を寝覚めといい、床を敷いたような岩を見て、人々は寝覚の床と呼ぶようになりました。
 侵食された白く美しい花こう岩が、エメラルドグリーンの水面に映える寝覚の床。周辺には時をテーマにした「寝覚の床美術公園」があり、安らぎの場になっています。